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2012.04.30 Mon
続きを読む以降は私の書いた話です。
銀魂の世界観を基にしておりますが、公式なものではまったくないので、覚悟を決めてどうぞ。
また、特定のカップリングがお好きなや、思い入れがある方はやめておいたほうが無難です。

今回の話は3zです。
沖田さんの目線からのお話です。
若干のカップリング要素も含むので、苦手な方はUターンしてください。
カップリングは沖神ですが、いちゃいちゃしないのでいちゃいちゃが好きな方も、
がっかりするので止めた方がいいです。

予定では4月から3月までの12ヶ月の構成となる予定ですが、
私の気分次第、頑張り次第の更新となります。
つまり予定は未定、そういうことw

では、楽しんでいただければ幸いです。
Dog Year

April
First impressions are most lasting.



4月の始業式、って言ったって高校生活も3年目を迎えると、
目新しさの欠片もねぇだろうって大体想像がつくだろう。
小、中、高と学校も学年も変わってもやることは大概同じで、
自己紹介だとか席だの委員だのを決めるだとか、まあそんなもんだ。
高校で近藤さんに誘われて風紀委員なんてもんになっちまったから、
覚えたくねーのに学校中の顔をなんとなく覚えちまってる俺には、
クラスのヤツの自己紹介も必要ねえ。

「担任は、銀八だってよ」
土方はそう言うと、眉間に皺を寄せてため息をついた。土方は銀八とそりが全く合わない。
先生じゃなかったら、とっくに土方は銀八をぶん殴ってる。
名前を口にするのすら嫌そうなのに担任になるんだから、これから土方の毎日は暗黒だ。
ざまーみろ。
「へー、担任なんて務まるんですかねィ」
銀八は先生の癖に、校内で一番だらけているようなやつだ。
国語の教師なのにだらりと白衣を着け、
安いサンダルを引きずりながらかったるそうに歩いている。
「総悟、担任は誰でもいいがクラスのメンバーは重要だぞ」
三年目にしてようやく同じクラスになった志村妙のことで、近藤さんの頭は一杯のようだ。
さっきから、初めになんて声をかけるかで一人で悩んでる。
「そんなこと言ったって近藤さん、知らねー面なんてないですぜ。変わりばえしねーや」
「新しいクラス、新しいクラスメート、新しい1年間。最高じゃないか」
「近藤さん、今から浮かれるのも大概にして、あの女に殴られねーようにしろよ」
土方の言葉だが、これには同意せざるを得ねェ。
去年一年間、近藤さんは毎日のように志村妙に殴られ続けた。
違うクラスなのに殴られない日はなかった。
最近じゃ近藤さんが殴られても、誰も驚きゃしねェ。
「大丈夫だ、トシ。きっと去年のことは春休みでリセットされてるさ」
「それじゃあ近藤さんの存在自体もリセットされてるんじゃねーですかィ」
「なんだトシも総悟も、俺とお妙さんの間には素晴らしい恋の花道がな、待っているんだよ」
道で妄想を繰り広げる近藤さんを置いて、
ため息をつく土方と二人で歩き出すのも去年一回やってる。

やっぱりなんにも変わらねえ。


3Zと書かれた札の下、戸を開けると教室にはすでに生徒が結構いた。半分ちょっとくらいか。
各々知り合い同士の固まりになって、なんだか盛り上がってる。
黒板に書かれた自分の名前の場所に腰をかける。後ろは残念ながら土方だ。
通路を挟んだ右隣には、見覚えが無い女が座っていた。
誰だ、こいつ。
瓶底みてーな分厚いメガネをかけ、ピンク色の髪は二箇所でお団子状にしてとめてあり、
女の右隣の志村新八と親しげに話をしている。
銀魂高校の制服を着ているが、一度も見たことがない女だった。
「土方さん、あいつ見覚えがありますかィ?」
土方は関心がなさそうにそちらを見ると、首をかしげた。
「知らねーな、見たことねーよ」
風紀委員の副委員長として、学校中の生徒の情報を頭に叩き込んでいる土方に見覚えが無いなら、この女は今までいなかったってことだ。
ピンク色の頭が時折動くのを横目で見ながら、
ずうっと銀魂高校に通っていたように馴染んでいるこの女の正体が知りたいと思った。

がらがらと扉を開ける音すら間延びして、
3zの担任である銀八が入ってきたのはチャイムが鳴ってしばらく経ってからだった。
「あー、俺がこのクラスの担任だ」
坂田銀八と自分の名前を斜めになりながら黒板に書き、
大きく欠伸して首をごきごきと鳴らしながら、名簿を開いた。
「んだよ、めんどくせえな。出欠なんていいだろ、全員いんだろ?
どうせ、お前等顔見知りなんだろうし、自己紹介とかしなくていいだろ、別に」
「先生、出欠や自己紹介は必要です」
沖田の右斜め前に座った桂が勢いよく立ちあがると、銀八に抗議した。
「いいからお前はヅラ取れ、ヅラ」
「先生、これはヅラじゃありません」
バカ真面目に桂は答えると、銀八をにらんだ。
「めんどくせーなー、ほんとに。じゃあ、出欠だけとるぞー」

本当に出欠だけ銀八は取った。
そのまま3年生の授業の説明を始めようとしたところで、新八が立ち上がった。
「ちょっと先生、忘れてないですか?紹介してあげてくださいよ」
隣の女を指差すと、それを見た銀八が「ああ」と呟く。
「あー、忘れちゃいねえよ。後でもいいかなーって思ってだけだからね」
銀八は女をその場で立たせた。
「こいつは神楽。中国からの留学生だが、日本語は分かるからな。おい、神楽、自己紹介しろ」
力の抜けた銀八の声に対し、小さな声で女は助けを求めた。
「何をしゃべったらいいネ」
「何でもいいんだよ、適当にしゃべれ」
頼りにしていた様子の銀八が頼りにならないようなので、ちょっと困っているようだ。
「神楽ちゃん、名前とか好きなこととかしゃべればいいんだよ」
新八が小声で助け舟を出すと、新八に向かって軽くうなづいた。
「名前は神楽言うネ。こっちに来て一番好きになったのが、卵かけご飯アル。
卵さえあればご飯は何杯でもいけるネ。えっと、よろしくお願いしますヨー」
後ろを向いて、一気にしゃべるとぺこんと頭を下げた。
髪飾りの黄色い房が、しゃらんと音でも立てそうな勢いだった。
クラスメイトの拍手の音を聞いて恥ずかしそうに笑う姿は、
高校3年生というよりも中学生のように見えた。
「今どき、語尾がアルでしゃべる中国キャラって」
楽しげに見えるその笑顔に何故だか腹が立って、沖田は小さい声で噴き出しながら呟いた。
拍手の音にまぎれるかと思ったのに、耳に届いたらしく怖い顔でにらまれた。

始業式なので授業もなく、午前中に終わった。
委員会もないので帰ろうと教室を出ると、
新八と妙の、志村姉弟に挟まれてあの女が目の前を歩いていた。
近藤さんが「早く帰ろう」と大声で騒いだ理由が分かった。
近藤さんは妙に近寄って殴り飛ばされているが、幸せそうに笑っている。
女は妙の暴力に驚いたようだが、それはすぐに賞賛のまなざしへと変わったようだ。
姉の行為に呆れている新八とは対照的だ。
近藤さんが近寄って声をかけては殴られるたびに、
それを目で追う女の頭が面白そうに左右に動くのを見ていると、腹が立つ。
「相変わらずこりねーな、近藤さんも」
土方さんはなんとも思わないようで、近藤さんのことも心配しちゃいねーみたいだ。
妙が近藤さんを殴るたびに、女がぱちぱちと拍手をする仕草がむかつく。
「なんでィ、あの女」
「珍しいんだろ。あんだけ気持ちよく殴られて、全然めげねーんだからな」
土方さんには俺のいらだちは分からないらしい。
近藤さんは何度目かのパンチで、空高く舞い上がるとゴミ箱へと落下した。
「もうついてこないで」妙は近藤に冷たく言い放つと、二人を連れて去っていった。

「き、聞いたか二人とも」
ゴミまみれの近藤さんは歩く汚物と化していて、俺も土方さんも鼻をつまんで歩いた。
「聞いたかって、今のアレですかィ」
「やっと、俺と話をしてくれたんだ」
「会話っつーよりも、ありゃぁ決別の言葉だろ」
「何を言うんだ、トシ。あれは、お妙さんなりのさよならの挨拶だ」
「ああ、文字通りのさよならだな」
近藤さんにだけはあれが挨拶に聞こえるらしい。
「同じクラスになって、俺はうれしいよ」
近藤さんは辺りをはばからずに大声で話すが、周囲の視線が痛かった。


二人と途中で別れて、俺は家に帰った。
「ただいま」
玄関を開け、暗い廊下に向かって声をかける。
誰もいないのは分かっちゃいるが、声をかけなきゃ怒る人がいる。
居間の隣にある和室の灯りをつけ、まっすぐ仏壇に向かった。
写真の前でお鈴を鳴らし、線香をあげる。
「ただいま帰りました」
何の応えもないけれど、いつものように今日の報告をした。
「クラスは3z、担任は銀八。姉上は入学式と文化祭で会ってるから、
覚えているかも知れませんねィ。相変わらずのお人でさァ」
1年のときに、銀八を見て「楽しそうな方ね」ところころと笑った姉上なら、
あいつが担任になったのを面白がるかも知れねェ。
「同じクラスには近藤さんと、土方の野郎。あとはその他大勢。
志村の姉と一緒のクラスで、近藤さんは大喜びでさァ。
ああ、あと転入生が一人」
あのピンク色の髪の女だ。
「変な女」
あの女、新八や銀八と初対面じゃねーみたいだったな。
「とにかく、変な女でさァ」

食卓のテーブルには、近くに住む亡き母の従姉妹からのメモがあった。
冷蔵庫を開けると、メモに書いてあったように揚げ物や煮物がタッパーに入れて置いてあった。
姉上が生きているころから、よくこうして料理を差し入れてくれたり、
一緒に住もうと声をかけてくれているのだが、俺も姉上もこの家を離れる気がしなかった。
二階の自室で制服を着替えると、もうすることがなかった。
いつもならこんな時間に家にいることがない。
宿題もないし、TVも面白いのなんて昼間にはやってねえ。
ドロドロの不倫ドラマも終わっちまってるし、ワイドショーも大した刺激にならねェ。
落語を聴く気分じゃねーし、漫画はこないだ読んじまったことだし。
下で揚げ物をつまみ、差し入れの礼と今日の報告をしに行って、
その足で近藤さんの道場へといつものように向かった。


高校の最終学年はそうして始まったが、やっぱり大して変化がねえ。
隣にあの女が座ろうが、後ろに土方が座ろうが、近藤さんは殴られ続けるし山崎はうざい。
変なヤツばかり集められたこのクラスは、変なヤツが集まりすぎてそれが日常になっちまってる。
問題児が集まってるんだから、風紀委員としちゃ楽だ。
このクラスを見張ってれば、それでいいんだから。
「張り合いがねーな」と、土方さんは言うが風紀委員の張り合いがあっても困るだろう。

担任の銀八は相変わらず何を考えているんだか分からなかった。
銀八の授業はともかく、週に一度のLHRの時間なんてあってないような状態で、
うるさくしなけりゃ何をしてもいい自由時間のようなものになった。
時々LHRらしく何かを決めたりするが、それ以外銀八は担任自ら昼寝している。
「山崎、誰か来ないように見張っとけよ~」と眠そうに言って
教卓に名簿を広げて顔を隠して寝てしまう。
命じられた山崎はブツブツ言いながらも、
廊下に体を半分出して校長や教頭の巡回する足音をチェックしてる。
報酬は半額になった購買のあんぱんだそうだ。
あまりにひどい有様で、「先生、たまには有意義なことをしたらどうですか」と、桂が提案した。
それを聞いた銀八は「来週な」とその瞬間だけ目を開け、
次の週、LHRは有意義な時間になった。
銀八は常用漢字や熟語やことわざを書くテストを用意してきやがった。
銀八が「いいかー、今日は有意義にテストをやるぞー」と言った瞬間、
桂の背中にみんなからの殺意のこもった視線が注がれた。
前を見てる桂にだって、じりじりするような視線や、盛大な舌打ちは聞こえただろう。
だが年中頭がどうにかしている桂に、みんなの気持ちが伝わったかは定かじゃねーな。
「テストってどういうことですか、LHRじゃないんですか」
新八は担任のいつもと違う行動に戸惑っているようだ。
「LHRにテストしちゃいけねーってこたァねーだろ」
「テストって一体なんのテストですか?」
火付け役になった桂もこの展開には納得がいかねえみたいだ。
「いいか、漢字テストだ。このテストに書かれてる漢字はお前らにあわせた、
お前ら用の常用漢字だ。難しいもんなんて含まれちゃいねーんだから、解けるだろ。
おい、机の上のモンをしまえー」
桂の質問にそう答えると、銀八はテスト用紙を配り始めた。

問題用紙を開いた瞬間、あちこちから悲鳴が聞こえた。
問題はびっちり100問。漢字の書き取りばかりの小学生ばりなヤツ。
読みや、数字で選択できるものが一つもねーって、ふぜけてんだろ。
絶対、先週の桂に対する仕返しだ。
「ちょ、ちょっと、銀ちゃんひどすぎるネ」
「お前は漢字の国から来たって設定なんだから、得意だろ」
「先生、俺は漢字の国から来てません」
「ゴリラにだって漢字は必要だ」
「100問なんて多すぎますよ、先生」
「メガネかけてんだから解けるだろ、これくらい」
銀八は次々あがる抗議の声を半分以上無視し、「はじめ」と一言告げた。

あーあ、桂のおかげでめんどくさいことになっちまった。
問題の内容は難しいわけではないが、100問も書かなきゃいけないのがかったるい。
成績に関係する訳じゃねーし、10問くらい解けばいいかとぼーっとしてたら
「いいか、国語の成績には関係ないが、
教室の後ろに名前と点数をランキング形式で張り出すからなー」と、
銀八が見透かしたように言いやがった。
それを聞いた瞬間に、静かだった教室にはシャーペンを走らせる音が響いた。
どうやらみんな恥はかきたくねーらしいや。
俺はそれでもやる気がでねえ。
めんどくせーから、半分くらい解けばいいだろ。
「ったく、こんな面倒なことやらせやがって」
後ろから土方さんのボヤキが聞こえた。どうやら真面目に解いているらしい。
「卵酢油、一斉摘発、中間管理職」
「経歴、履歴書、給与」
「粘着質、変質者、運命」
「売上、玉の輿、抹殺」
あちこちからブツブツ呟く声が聞こえる。
「おいおいおいおい、おめーら頭の中が丸見えだぞー」
どうやらみんな解けるとこから解いているようだ。
俺も「奴隷」や「調教」と、誰でも書ける単語から埋めていった。

だが48問目の、「かんぺき」の「ぺき」が、下が土なのか玉なのか分からない。
この字でちょっとだけ違うなんてネタ候補まっしぐらになりそうで、
こればかりはさすがに間違えたくねえ。
消しゴムで土を玉にしてみるが、違う気がする。消して、もういちど土をかくが、
足りない気がする。何度もやると紙が破れそうだ。
慎重に消しゴムをかけていたが、手から離れて床に落ちた。
「あ」
消しゴムが転がり落ちた先はあの女の足元だった。
まずいとこに落ちた。
自分の近くなら自分で拾えるが、女の足元で這いつくばってたら
消しゴム拾ってたなんてちゃんとした理由があっても、ただの変質者だ。
近藤さんと同じ扱いになっちまう。
あの女に声をかけたくはないが、仕方ない。
「おい、チャイナ」
小さい声で呼ぶが、顔すら上げねえ。聞こえてねーのか?
「チャイナ、おい、チャイナ」
さっきより大きい声を出すが、ぴくりとも動きやがらねえ。
「なあ、消しゴム拾ってくれねーか、チャイナ」
届かねえかと足を伸ばしてみたが、やっぱり無理そうだ。
女は相変わらず俺を無視して、頬杖をついて俺とは反対側に顔を向けてる。
「チャイナ聞こえてんだろ、返事しろよ」
俺の声に、女の隣の新八が反応してこちらを見た。
お前じゃねーよ、俺が用事あるのはお前の隣の女だ。
「なに無視してんだよ、消しゴム拾ってくれって頼んでんだろ、チャイナ」
「うっせーよ、総悟。俺の予備の消しゴム貸すから黙れや」
後ろから土方が俺のイスを蹴り、とんとんと背中を叩く。
土方から消しゴムを借りたいとこだが、そういう問題じゃねえ。
「俺が呼んでんだ、返事くらいしろよ」
俺の言葉に、銀八が顔をあげた。
「なーに、テスト中に話してんだ。ナンパは放課後にしろー」
「先生―、こんな女ナンパなんかしません」
俺はチャイナを指差して、銀八に抗議する。
「あのなー、さっきからうるせーんだよ。何の用事だ」
「消しゴムを拾って欲しくてー、お願いしたんですがー、シカトされました」
「あん?」
銀八は席を立ち、チャイナの足元に転がっている俺の消しゴムを拾うと、投げてよこした。
「ほい、これでいいだろ?」
俺は銀八の行動には感謝するが、かたくなにこちらを向かないピンク色の髪の毛を見ると、
むかむかしてきて残りの問題を解かなかった。

「おい、てめー。さっきは何シカトしてんだよ」
放課後すぐに隣に抗議する。
あいつは俺の声が聞こえてるのに、くるりと背を向けた。
「聞こえてんだろ?てめーのせいで恥かいたんだ、分かってんだろ?」
隣に立ってちょっと声をでかくするが、こっちを向かねえ。
「なあ、おい」
俺がイライラしてもっとでかい声を出すと、
あいつの隣にいた新八が心配そうにあいつに俺のほうを見るように手で促した。
「神楽ちゃん、沖田さん呼んでるよ」
それでもこっちを向かねえ。
「おい、チャイナいい加減にしろよ」
「ねえ、神楽ちゃん」
新八が心配してあいつの手をつかみ無理やり体をこちらへ向けさせた。
「神楽ちゃん、人に呼ばれたときは返事しないと」
あいつは体だけこちらを向き、ぷうっと膨らんだ顔を俺に背けた。
「新八は関係ないネ」
「もう、神楽ちゃん」
呆れたように新八はため息をつき、「沖田さん、呼んでるよ」と
もう一度あいつを俺のほうに向けようとした。

「チャイナじゃないネ」
あいつは顔を背けたまま、俺に言った。
「チャイナなんて私の名前じゃないアル。私の名前は神楽アル」
はっきりと断言するように力強く言うと、ぷいと体を反転させ新八のほうを向いた。
「神楽ちゃん、あだ名だよ、あだ名。神楽ちゃんだって僕のこと駄メガネって呼んだじゃない」
「新八はメガネだからいいネ。それに新八とは顔見知りの…仲間アル」
「ちょっと、僕がメガネって、メガネだからいいってどういう事?
ねえ、神楽ちゃん沖田さんだって同じクラスの仲間だよ」
「おい、この女と仲間になった覚えはないね」
新八と俺のやりとりを聞くと、あいつは俺のほうに向き、今度はしっかりと俺の顔を見た。
「こんなヤツに言われたくないネ」
青い瞳が、まっすぐに俺を見ていた。
俺も視線をそらさず、まっすぐにあいつを見た。
「こんなヤツで悪かったな、チャイナ」
お互い意地になってるのか、視線をどちらもそらさなかった。
生意気そうで、気の強そうな女。
自己紹介のときは、銀八相手に気弱そうだったくせに。
女は腰に手をあてて、威張るように言った。
「私に向いて欲しかったら、名前を呼ぶアル」
何言ってんだ、こいつ?
誰に物を言ってるんだってんだよ。
「やだね」
「ちょ、ちょっと、沖田さん」
即答した俺の答えに慌てた新八が、俺とあいつの両方の顔を見比べておろおろしている。
「レディのことを名前で呼べないようなヤツに返答する義理はないネ」
「誰がレディだって?冗談抜かすな」
「冗談なんかじゃないアル」
「お前がレディなら、このクラスの女はみんなレディってことにならァ」
レディなんてこの学校に入って一人も見かけたことはねえけど。
目の前にいるこの女も、ほかの女と同じ「ただの女」にしか見えねェ。
「女の子はみんなレディアル」
更に胸をはり当たり前のように言う姿を見て、悪いが噴き出しちまった。
くっくっくっくと笑う俺の顔を見て、怒りで顔が真っ赤になってやがる。
「馬っ鹿じゃねえの」
「何で笑うネ」
「チャイナ、万が一お前がレディに見えるようになったら、
眼科に行って治療する前に、お前のことを名前に様をつけて呼んでやるよ。
だが今のお前は、この俺がわざわざ名前で呼んでやるまでもないね。
あだ名ですらもったいねーや」
目の前に立っているこいつが、レディと呼ばれるようになるとはとても思えなかった。
「いつか、お前に名前を呼ばせてやるネ」
「楽しみに待ってるよ、チャイナ」
目の前にいるこいつは、気の強いただの女の子に今は見えた。



5月に続く・・・・・・ → 5月 後で更新します。
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まとめwoネタ速neo 2012.05.02 Wed 10:49


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