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2009.08.09 Sun
えー、続きを読む以降には、週刊少年ジャンプで連載中の銀魂の台詞を引用した箇所が出てきます。
まだ単行本にはなってませんが(ブログの日付現在では)、
松陽先生の一部の台詞は引用文です。

また絵の権利は
「読書とジャンプ」のむらきかずはさんにあります。


私に権利がありませんので、よろしくお願いします。

それから、続きを読む以降は私の書いた話です。
銀魂の世界観を基にしておりますが、公式なものではまったくないので、覚悟を決めてどうぞ。

<1>の続きとなっておりますので、そちらを読んでからのほうがいいと思います。

では、では。


kogin-to-gin.jpg

暮れ六つ 

<二>


2日前に、また戦があった。

戦場稼ぎ達は戦の終わるのを思い思いの場所で待ちながら、その後を算段している。
オレは相変わらず木の上で、その日は上げておいた胡瓜や西瓜を食べていた。
食べ終わって、また腹が減ったころ戦が終わって、戦場稼ぎの男たちが早々にやってくる。
そいつらがあらかたいなくなる頃、そっと木から降りる。

死んだ男達の懐にある竹の皮包みを探して、そいつらの上でほおばった。
塩つけただけの握り飯だがうめえ。
夢中になっていくつも頬張って、気がつくと生きてる男が一人そばに立っていた。
オレの頭にぽんと手を載せじっとオレを見る。
戦場稼ぎじゃねえことはオレでもすぐわかる。長い髪を下ろして、羽織なんぞ着て上等の刀差して身なりがよすぎる。人買いでもねえだろう。
「屍を食らう鬼が出るときいて来てみれば………」
と言いながら、オレを「カワイイ鬼」扱いしやがった。
そういや、「鬼」と村の奴等に呼ばれていたなと思いながらも、「カワイイ」と呼ばれたことに腹がたつ。
気配殺して易々と隣に立ったこいつが怖い。油断ならねえ。
頭に置かれた手を払いのけ、刀を抜く。
腰を落としていつでも切れるようにする。
男はオレの刀にまったく頓着せず笑みすら浮かべていた。

媚のない笑みが怖え。後の算段を必死に考える。震えを気取られないように気をつけつつ男の様子を伺う。
「他人におびえ、自分を護るためだけにふるう剣なんて、もう捨てちゃいなさい」
そういって自分の刀に手をかけ、鞘ごとオレにひょいと投げてよこした。
とっさのことにオレはその刀を受け止めるのがやっとだった。
男はオレに背を向けると、歩き出した。
なんなんだ、こいつ。まっとうじゃねえ。
「本当の使い方をしりたきゃついてくるといい。」
男の声はやけに穏やかで優しかった。
「これからは剣をふるい、敵を切るためではない弱き己を斬るために、己を護るのではない己の魂を護るために…」
男に気勢を殺がれて、オレは何でだか自分でもわからねえうちに後をついていった。

戦場に転がるまだ新しい死体の中を、そいつはまったく躊躇なく進む。
一体なにものだろう。村では見かけたことがねえし、死体を前にしてこの落ち着き方は尋常じゃねえ。剣の使い方って…やっとうの師匠かなんかだろうか。
オレの、今まで見たことのない男だ。


空の色が変わり始める頃、森の入り口までやってくると男はしゃがみこんだ。
「さあ」
そう言うと、男はオレに背中にのるように促した。
他人を背負うなんて正気の沙汰じゃない。他人に命預けるなんて馬鹿だ、こいつ。第一、オレをどこに連れて行くっていうんだ。
刀抱えて逃げてやろうか。
この刀で刺してやろうか。
いろんなことがオレの頭の中を一気に駆け巡る。
断ったらどうなるんだろう。悪いことが頭をよぎる。
「さあ」
もう一度言った男の柔らかな声が、オレの背中を押した。

しがみつくように背中にとびのっても、それ以上はどうしたらいいんだか分かんなかった。
背負われるなんて初めてで、首に手を回すのが怖え。
力をどれくらいいれたらいいんだろう。
ぎゅうっとしたら、殺されると思ってこいつが殴るかもしれない。気を悪くして人買いに売っばらうかもしれない。
onbu-small.jpg

こわごわと手を前に回すと、もっとしっかりつかまるように言われた。
こいつの背中は見てた時よりしっかりして大きかった。揺れるのに任せて、そうっと頭を預けてみる。
なんだか、甘ったれたガキみたいだ。
耳の下で初めて聞く音がする。背中にくっつけた耳がじんわりあったかい。そういえば、背中にくっつけてる腹もあったかい。
まだ腹が減ってるのに、はらいっぱいになった時のようで、眠くなってきた。
どこに連れて行かれるのだろう。
起きていなきゃと思ったけど、そうは悪くない所のような気がして、まぶたに任せて目を閉じた。


気がつくと辺りは真っ暗で、見たことのない町の中だった。
家々の様子で村とは違うことが分かる。
町並みから少し外れた辺りで、男は木戸をくぐり屋敷の前で立ち止まり、板戸を叩いた。
ほどなくして中年の女が顔を覗かせた。
すこし太り気味で大きな目をしてる。
「まあ、先生。なんです、その汚い子は。」
驚いたように大声で女は言うと、オレの顔を覗き込むようにじいっと眺める。
今までこんなに近づいてオレを眺めたヤツはいない。
あんまりにびっくりして声がでねえ。
「私が洗うから、湯を用意してくれないか。それから夕餉の支度を。」
そう言うと、俺を背負ったまま風呂場に向かった。
「先生、こんなことだろうと湯なら用意してありますし、夕餉だってあちらで支度してありますがね。子供とはねえ。」
女はどこからか色々抱えて持ってきて脱衣場に置いていった。

初めて見る風呂場は広くて湯気でぼんやりしていた。
淡い灯りがゆらゆらと揺れて白い湯気が揺れて、見たことのない光景だ。
お湯を頭からざーっとかけられる。
オレの伸びきった爪の先は真っ黒。髪は束になって中でもつれてる。
いい匂いのする石鹸でちょっと擦るだけでお湯が真っ黒になり、垢がいくらでも出てくる。
何度も新しいお湯に代え、あちこち丁寧に洗われる。
耳を洗われてこそばゆくて思わず笑っちまう。
「やっと声が聞こえた。」
そう言うと、オレを見てにっこり笑ってまた洗いはじめた。

泡がたたなかった石鹸の泡が立つようになる頃、自分がひどく汚いって事に気がついた。
恥ずかしさとお湯でかあっと暑くなる。
このまま泡みたいに湯の中に溶けちまいたい。
川で体は洗ってたけど、そんなことじゃ駄目なんだ。
背負われて、この人の着物をきっと汚しちまったろうな。
ちらりと顔を覗いてみても、この人の表情は変わらない。にこにこ笑っている。
目があうともっと柔らかく笑うから、どうしていいんだか分からない。
「泡が目にしみませんか?」
どうしてそんなこというんだ。
どうしてそんなにやさしくいうんだ。
「しみねえ。」
ぶっきらぼうにつぶやくのがやっとで、涙が出そうになる。
そうして、そのまんまだんまりを決めこんで下を見続けた。


湯からあがって手ぬぐいで拭かれて、風呂場より明るい灯りの下で自分の体を初めて見た。
白くなって、手足が自分のものじゃないみたいで、しげしげと眺める。手を結んでは開く、そんな当たり前の仕草もいつもと違ってみえた。
辺りに石鹸のいい匂いがまだ漂って、もう石鹸はないはずなのにどこからするのか嗅いでいると、オレからすることに気がついた。
「石鹸のいい匂いがオレからする。」
なんだか自分が上等になった気がして、うれしくなって何度も嗅ぐ。
これはオレの匂いだ。今はオレだけのもんだ。
代えの着物は新しくはないが、洗って繕ったきちんとしたものだった。
それに袖を通すが、布がぱりっとして落ち着かない。
着物だけじゃなく体も匂いもみんな借り物みたいだ。頭ん中までふわふわしている。

狸か狐に化かされたかもしれねえが、これなら何度化かされても構いやしねえ。

「さあさあ、そろそろこちらで召し上がってくださいよ。」
せきたてるような大声で、向こうから女がオレ達を呼んだ。




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