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2010.10.10 Sun
続きを読む以降は私の書いた話です。
銀魂の世界観を基にしておりますが、公式なものではまったくないので、覚悟を決めてどうぞ。



今回の話は10/9~10にかけてサクラバコのハコさんとメッセしてて出た会話が発端でした。
10日になった途端にpixivに次々とあがるおめでとうイラストを見てて、
みんなが銀さん大好きでちゃんと用意してることに感心してたら、
ハコさんから促されてなんとなくできました。

タイトルにある86400secは一日の秒の数です。
時間がないなーと言った私に「まだ23時間36分あるよ」といったハコさんの言葉からヒントもらいました。
ありがたいことに誕生日である10日の間に形になりました♪


そんなわけで、今回は銀さんのお誕生日のお話です。
銀さん、お誕生日おめでとう♪

では、楽しんでいただければ幸いです。
1010 86400sec



午前0時ジャスト、今年も電話のベルが鳴るわけじゃねェ。
押入れからは神楽の寝言が聞こえるだけだ。

「やっぱりな」

新八と神楽の様子がちょっとだけ変だったから、いらぬ期待をしてしまったけれど。いい年の男がたかだか誕生日になったというだけで、子供みたいに期待するなんてちょっとどころかかなり痛ぇな。
それでも心のどこかで、誕生日になった瞬間を待ち構えて祝ってくれるヤツがいるのを銀時は待ち望んでいた。

藤椅子に寄りかかりながら机の上に足を乗せ、ぐうっと背中を伸ばして、卓上の黒電話を何度も見てもちっとも鳴らない。コードが抜けてるんじゃねぇかと、後ろを見たがいつもどおり。受話器を持ち上げると電話は通じているらしく、プーっと発信音がする。試しに天気予報にかけてみると、今日は晴れだとテープが教えてくれた。

「主人公なんですけどー」
イチゴ牛乳をぐびりと飲んで小声で呟くと、襖ががらりと開いた。

「神楽?」

出てきたのは犬の定春で、水を飲みに起きて来ただけだった。
もふもふの白い頭をなでると、定春は銀時に顔を向け大きな舌で顔を舐めた。

「ありがとうよ」
「アン」とかわいらしく定春は鳴くと、また神楽の元に戻っていってしまった。
定春がいなくなると急になんだか空っぽになったような気がして、1時まで待ってみようかと思っていたのにとっとと眠ることにした。


朝の9時をちょっと過ぎた頃、新八がやってきた。
今日は新八の当番で、慣れた手つきで三人分の朝飯を作る。といっても、予算がかけられない朝食は、いつでもあまり変わり映えがしねえ。

炊き立ての白米と、味噌汁、アジの開き、ナスの糠漬けは新八の持参だ。ちっとはなんかしらの変化があってもよさそうなもんだが、いつもと、全く、腹が立つほど変わらねえ。

「なあ、新八。今日くらい1品多くてもいいんじゃねえのか」
堪りかねて抗議の声をあげてみた。
「何言ってるんですか、銀さん。もう1品増やすなら予算下さいよ。そうでなくたって、かつかつなんですよ。このアジだって特売なんですから」
新八は眼鏡をくいっとあげると、3杯目のおかわりをしてる神楽に呆れ顔で溜息をついた。
「何アル、銀ちゃん。アジの開きがあればいいって、このあいだ言ってたネ」
凄まじい勢いで飯をかきこみながら神楽はそう言うと、銀時の皿に手を伸ばそうとする。慌てて貴重なアジを死守して口に放り込む。
「贅沢言ってないで、さっさと食べてくださいよ」
新八にどやされながら、銀時は食事を片付けた。


午前中は失せ物探しの依頼があった。
誕生日だろうがなんだろうが仕事があればありがてえ。幸いちゃっちゃと片付く仕事だったから、かぶき町を何往復かして昼前には片付いた。
昼飯を食べていると、チャイムが鳴った。

「誰だ、昼飯時に」
文句を言いながらも浮き足立つ。早足で廊下を歩き、玄関の戸を開けた。

昼間に見ても怖ぇ顔が、頭よりもずっと高いところから銀時を見下ろしていた。
「こんにちは、坂田さん」
隣の花屋の屁怒絽が、震えがくるような表情で突っ立ってた。
「こ、こんにちは…」
「いいお天気ですね、坂田さん。」
何度見ても慣れねえ顔だぜ。見ているだけで背筋が寒くなる。

「そーですね。き、今日は晴れの得意日だって言いますからね」
「ほおっ」
感心したように頷かれるだけで、思わずびくっとしちまった。
「そうそう、お届け物です」
屁怒絽はそう言って、鉢植えを手渡した。鉢植えには銀時のよく知らない小さな白い花が咲いていた。
「なんだ、これ」
「秋明菊です。坂田さん。」
「菊の鉢植えって、縁起悪ぃなぁ。一体ぇ、誰の嫌味だ」
銀時はその小さな花や丸い蕾を触った。
「坂田さん、菊といっても菊の仲間じゃないんですよ」
屁怒絽は凄みのある笑顔を浮かべると贈り主は秘密だと告げて、去っていった。

「よかったアルなー、銀ちゃん」
鉢を抱えて銀時が戻ってくると、神楽が花を見て笑いかけた。
「よくねえだろ、鉢植えの菊だぞ、おい」
テーブルの上に鉢を置き、銀時は二人の表情を観察する。
「かわいい花ネ」
神楽の表情は全く変わらねえ。
「銀さん、誰からなんですか?」
新八の表情もいつもとおんなじだ。
「知らねえ」
大体、金渡してないんだから、買えるわけねえのか。だとすると、こんなことするのは誰だろう。白い花びらに浮かんだ金色の花弁が、屁怒絽のいうように菊と言うにはずいぶんかわいらしい花だった。


夕方、新八にどやされて定春を散歩に連れて行く。
この時期はもう日暮れが早い。歩いているうちに、どんどんと暗くなった。かぶき町の空はネオンの灯が強いから、この時間じゃまだ星は見えなかった。それでも空を時々見上げながら、町をぐるりと回る。
家の前に戻ってくると、階下の「すなっくお登勢」の従業員である、たまが看板を出していた。
銀時を見てにこりと笑うたまへ、片手を挙げて挨拶をして、階段を上り玄関を開けた。
「帰ったぞー」
定春を連れて、居間の戸を開ける。

「全く参ったぜ、全然クソしねえんだけど」

パンと目の前にカラフルな火花が散った。
「銀さん、お誕生日おめでとう」
「銀ちゃん、お誕生日おめでとう」

同時に二人から笑顔つきで声をかけられて、びっくりした。こんなことじゃねえかって思ってたけど。朝からずっと思ってたけど。
二人が鳴らしたクラッカーから飛び出した紙ふぶきが、ひらひらと舞い落ちる。
「な、なんだよお前ら」
目の前に大きなケーキがある。生クリームの上のプレートにチョコレートで自分の名前が書いてあるのを見て、恥ずかしくなった。
「銀ちゃん、コレ」
神楽が手渡した包み紙の中からは、マフラーが出てきた。
「いい色でしょ、コレ。神楽ちゃんと二人で選んだんですよ」
毎年つけているのと同じ、赤い色のマフラー。触るといつもしているやつより、ずっと柔らかかった。
「いい色って、同じじゃねえか」
乱暴にわざとそう言って、マフラーを首にしてみるがまだちょっと暑い。
「何を言うアル。同じじゃないといけないって、銀ちゃんの口癖ネ。やっぱり銀ちゃんのマフラーは赤ネ」
神楽は銀時のマフラーをぐいと掴んで、ぎゅっと手前に引いた。
「わ、バカ、苦しいじゃねえか。それに、伸びるって」
バランスを崩した銀時は、よろけてケーキに突っ込みそうになった。
「ちょっと、二人ともやめてくださいよ。せっかくのケーキが大変なことになりますよ。」
慌てた新八がケーキを抱えて、二人から離した。

「ね、銀ちゃん」
神楽がそっと袖をひいた。
「ん?」
「昼間のお花も、私達からネ。気がつかなかったアルか?」
ちょっと心配そうな顔をして、俺を見てる。
「ああ、気がつかなかったな」

神楽、お前嬉しそうに笑うけど、
俺がもらいもんだって説明するより前に、
「よかった」って言っちまってたじゃねえか。

「まさか銀さん、自分の誕生日忘れてたんですか?」
呆れたように新八が言う。
「全く覚えちゃいなかったな」

新八、笑いながら溜息ついてるけどな、
お前が無理やり定春と俺だけで散歩に行かせて、
ヒントくれてるんじゃねえか。

「もうおっさんネ。一人じゃなにもできないおっさんネ」
「そうだな」
「しっかりしてくださいよ、銀さん。僕らがいないと何もできないなんて、困りますよ」
「ああ、困るな」
名前と誕生日おめでとうの文字の書かれたチョコレートのプレートは、すっげえ甘かった。


23時過ぎ、暖簾もすでにしまわれた階下のスナックの戸を、がらりと開けた。
「おや、今日は来ないと思ったよ」
しわがれごえのババアが、カウンターで一人煙草を吸っていた。
「なんか飲みたくてな」
椅子に腰をかけると、ババアが酒の支度を始める。
「ずいぶん賑やかだったじゃないか」
「まあな」
「ちゃんと、驚いてやったんだろうね」
ババアは水割りを、俺の前と自分の前に置いた。
「あー、驚いた。すっげー驚いた」
ババアは俺の言葉に少し笑いながら、自分の前の酒を飲んだ。

俺も酒を口に含む。いつもよりも少し濃くて、少し上等な味がする。
「いい子たちじゃないか」
「俺のしつけがいいからな」
俺を見てババアは少し笑って、煙草に火をつけた。
「こんな日だっていうのに、毎年毎年、他に行くところがないのかい」
「客にその態度はねえんじゃねえの」
俺の軽口にババアは鼻で笑うと、煙をふうっと吐き出した。
「今月の家賃、まだもらってないんだがね」
「今月の家賃くらいタダでいいだろ」
毎年、同じカウンターで二人でしてる、同じやり取り。

ババアは黙って煙草を吸い、俺は黙って酒を飲んだ。

「来年は家賃を上げるかね」
時計の針が今日の終わりを告げる頃、ババアはそう言ってグラスに残っていた酒を全部飲み干した。
「ったく、上がったって払わねえからな。払えねえからな」
俺もぐぐっと酒をあけて、去年と同じ悪態をつく。

ババアの言葉も俺の悪態も去年のことにして、秒針が来年の始まりを告げた。



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