はじめによもやまペット本(小説やら漫画やら)銀魂色塗り自作の話HRK博物館や美術館寺社仏閣

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2010.06.19 Sat
絵の権利は
「読書とジャンプ」のむらきかずはさんにあります。


私に権利がありませんので、よろしくお願いします。


それから、続きを読む以降は私の書いた話です。
銀魂の世界観を基にしておりますが、公式なものではまったくないので、覚悟を決めてどうぞ。

今回の話は京都旅行に伴って作った本の為に、紙ベースで書いたので文章が読みにくいかもしれません。
銀魂らしからぬ恋の話をテーマで考えた、四つの話のうちの一つとなっております。

また、特定のカップリングがお好きな方、正統派のカップリングがお好きな方は止めておいたほうが無難です。
この話は、土方さんと銀さんがそれなりに、それなりなことになっています。
といってもその手の話のお好きな方にとっては、大したことしてないと思う程度です。
ただひたすら二人で飲み屋で張り合ってます。ぐだぐだです。

なにもしない展開をお望みの方は読書とジャンプへどうぞ。最後以外はほとんど一緒です。

ただ一言、銀さんごめんね。本当にごめんwww

話の長さの関係上二つに区切ってあります。
こちらは<1>となっておりますので、続きを読まれる方は<2>をどうぞ


塗り絵をしたのは私です。
何も考えずに塗ったので、全部ばらばらな色調です。

では、楽しんでいただければ幸いです。

yahannotuki-vsvs.jpg
夜半の月 


                
<1>


人間、のっぴきならねえ状況に落ちてみてようやく分かることもある。
深酒はやめよう。本当に、やめよう。
朝起きてのひどい二日酔いと、軽い財布をさらに軽くした挙句の果ての失くした記憶に後悔するばかりじゃねえ。酔ってる今だからこその、後悔真っ只中だ。
誰か俺を助けてくれー。
もう、本当に酒あんまり飲まねえようにするから、目の前のこいつ以外なら誰でもいいから。
ヘルプミー、ヘルペスミー。

銀時が心の中で叫んだのは、日付も変わってずいぶん経つ頃、場所はかぶき町をちょっと外れた路地裏の、大人のたしなみまで売っている自販機の前であった。


事の起こりは、銀時のいきつけのひとつであるパチンコ屋が新装開店したことに始まる。

最近のパチンコ台は、以前に比べて大勝ちをさせない仕掛けになっていて、パチンコ仲間の銀時と長谷川にはすこぶる評判が悪い。「面白みがなくなった」「貧乏人の夢を奪う」二人は負けが込んでくるたびに互いにそう言いあって憂さを晴らしているのだが、そんなパチンコ台でも、店の戦略で新装開店や新規開店、新台入荷時にはそれなりにちゃんと玉が出るようになっている。新人アナも含め、新が付くだけでいい気分になれるのが銀時と長谷川だった。
そんな二人が待ちに待っていた新装開店当日。長谷川には好条件での仕事の面接があり、銀時は一人でパチンコ屋へと向かった。
銀時の万事屋には、幸いかどうだか分からないが仕事の依頼が一件もなかった。そんな日は部屋でだらだら万事屋の三人、銀時、新八、神楽とで部屋で時間を潰すが、今日はもちろん休日にしてある。銀時の同居人でもある神楽は、新八の姉の妙と今日は過ごすらしく、昨日今日と連泊予定だ。

繁華街であるかぶき町では人が動き出す時間がよそより遅い。まだ朝っぱらで、パチンコ屋の前以外の道路は閑散としていて、カラスが倒れたバケツからゴミをつついているのが目立つくらいだ。
パチンコ屋の前で並んでいるのは圧倒的に暇をもてあましていそうな中年の男が多い。それでも水商売帰りの女もいれば派手な身形のホストらしき男も、一癖ありそうなばーさんや胡散臭いじじいもいて、やる気がなさそうに見えてその実、ぎらぎらとした欲望が渦巻いていて見ていて飽きない。
俺もその中の一人なんだなと思うとなかなか気分がいい。「だりーな」と銀時は呟きながら、上物を紙っぺらのようになるまで着古した着流しのじーさんの後ろに並んだ。
早起きして朝っぱらから眠い目をこすりながら並んでとった整理券のチケットは、中々に前の方の順番で、銀時の気分は上々だった。

店に入るとリニューアル前に大勝ちした台が空いていて、銀時は迷わずそこを選んだ。二度あることは三度ある。ってことはだ、一度あることが二度あるから三度目もあるって寸法だ。銀時の台は昼までは若干の上向き程度だったが、午後になると上げ調子となってきた。
太ももまでスリットの入った隣の美人のねーちゃんがいなくなり、金髪の毛先を5cmだけ紫に染めたばーさんが座ると運が巡ってくるのだから、本当に不思議なもんだ。ばーさんの着ている半纏のラメが、店内の光でピカピカ光るのに手を合わせて拝みたくなった。

カラフルな台の中で銀色に光るパチンコ玉が次々と発射され、きれいな放物線を描きながら虫ピンにしか見えねえ釘にあたり、チューリップと呼ばれる口へと消える。そして、ざらざらと仲間を連れて銀時の待っている出口から、玉が出てくる。空いている左手で銀色の玉を箱に入れながらも、目と右手は台から離さない。
箱から転がり落ちた玉を、今日の銀時は気にもしなかった。この店は一玉4円の計算で、負け続けて長谷川と二人で人の箱から落ちた一玉を争ったこともあるが、今の俺はくれてやるって気分だ。銀色の玉が一杯の箱が増えるにしたがって、気持ちがどんどん大きくなる。
途中で店にやって来た長谷川は、あっという間に負けたらしく銀時に「玉を恵んでくれ」と空き箱を出した。銀時は鼻をほじりながら余裕で一掴み与えてやると、長谷川の負け運とはそこで縁を切った。その後も、選んだ台は出玉の大波小波を繰り返しながらも上げ潮だった。

閉店の30分前に店を出た。銀時には珍しい大勝だった。懐の財布は、大喜びをして札を受け取った。どうにもこのまままっすぐ家へ帰るのが惜しくて、ぶらぶら飲み歩くことにした。資金は潤沢で、気持ちが大きくなっているのが自分でも分かる。
住宅街ならしんと静まり返るこの時間も、かぶき町ではまだまだ眠る時間ではない。終電前のひと稼ぎとばかりに呼び込みがうるさく銀時の袖を引く。
「おにーさん、いい男だね。どう、遊んでかない?」「ねー、かわいい子いるよー。なんと3000円ぽっきり」「いい女の子とお望みのプレイを」必死になって声をかける客引きに引っかかれば、そのまま蟻地獄の巣へと連れて行かれて、財布も心もすっからかんになる。それでも、甘い言葉を信じて引っかかりたくなるのが男の性だ。ついふらふらと寄っていきそうになるものの、今日の俺は単純に飲みたかっただけだ。飲むならうるせー奴のいねーようなところ、というわけでおいしいものが摘める小さな居酒屋を始めの一店目に選んだ。


我ながらいいチョイスだ。
店内は古ぼけて、酒焼けした男たちが安くて旨い肴を腹に収めている。銀時はちょっと値段の張る日本酒と揚げ物を二つ、串焼きを一つ頼んだ。店の親父はのんびりしてそうに見えるが、ムダな動きが全くなく次々と注文をさばいていく。頼んだ品物があっという間に目の前に出てきた。冷えた酒と熱々の串焼きを頬張ると満足のため息が漏れた。
かーっ、うめー。最高だよなー、大勝ちしてうまいもん食って、酒飲んで。これで隣に結野アナでもいればいいんだがなー、隣にいるのは俺と同じように、酒に溺れて楽しんでいるおっさんばかりだ。

肉汁たっぷりの鳥のから揚げ、揚げた甘い玉葱、中だけちょっと半生にして焼いた海老、追加で頼んだシマアジの刺身、芥子のきいた小茄子。お一人様用に少なめに作ってくれる料理を全部平らげ、いい気分のまま次の店へと向かった。

次は万事屋の階下に住んでいるばーさんより、少しは若いばーさんのやっている店だ。ガムテで補強した黒皮の丸いスツールに腰をかけ、紫蘇とチーズと海苔を一緒に揚げたもの、里芋の炊いたもの、名物になってるカニクリームコロッケの一口サイズ、そしてハイボール。そこにいるじじいどもが必死にばーさんをくどいているのが一番の肴だった。
「さー、そろそろ」と、いつもなら重いはずの腰をさっさとあげて、満腹になった腹をさすりながらのろのろと次の店へと向かった。

次の店はかなりの暗がり。店の通路に貼られた竹垣を奥へと当たり前のようにずんずん進み、いつものボックス席へ座ろうとすると奴がいた。
黒い髪、黒い着流し。腹ん中まで真っ黒そうな、土方だ。
真選組副長と随分ご立派な肩書きだが、奴らのやってることなんてヤクザと大して変わりがねえ。対テロなんだか知らねえが、あんな違法行為の山を税金で堂々としてるような奴らが警察組織を名乗るんだっていうんだから、万事屋が『オールマイティなスペシャリストの宇宙規模のグループ企業です』とか言ったって許されるってもんだ。

「おい、どけ。そこは俺の指定席だ」
この店のオーナーは、銀時の大家であり階下のスナックの主人でもあるお登勢と旧知の仲で、銀時にも仕事を依頼してきたことがある。その際に、この店の隅の角のボックス席は空いていれば銀時専用に使ってくれていいと言ってくれたのだ。普段は誰かが座っていればゴリ押しすることがない銀時だが、相手が天敵のような土方とあっては別だった。

「何だ?」眉間に皺を寄せて振り向いた土方は、「ちっ、万事屋か。指定席ってなんだ、チケットを買ったとでも言うのかよ」と銀時を見上げて舌打ちをし、手を上げて店の男を呼ぶとビールを注文した。
「なんだしけてんな、ビールかよ。おい、にーちゃん。俺には上物の日本酒だ。それからここは俺の指定席だから、このマヨネーズ男をどかしてくれ」奴の持ってる赤いキャップを指差して笑ってやる。
「おい、俺はビールを止めて…兄嫁の冷酒。それから、そこのもっさりした天パ、どっか目につかねえとこにやってくれ」銀時の言葉に、すぐに土方は反応した。

野郎、あっさりとこの店で一番高い日本酒頼みやがった。
「てめー、俺に喧嘩売ってるのか」
くるりと銀時に背を向けて土方は座りなおすと、酒が残っていたグラスを一息で空けた。
「おい、どけって言ってるのがわかんねーのかよ。そこは俺の」ぐぐっと肩を掴んで、無理にでも土方をそこからどかそうと試みる。
「うるせぇな。俺が先に座ったんだから、この席の占有権は俺にある」かなりの力を入れても、土方はびくともしねえ。
「あん?何、小難しいこと言ってんだ。俺を煙にまこうったってそうはいかねえ」
「占有権も知らんのか。それでよく仕事が出来るな」
銀時の方をちらりとも見ないで、土方は心底呆れたようにため息をついた。
「てめっ、そんなこと知らなくてもな、いいんだよ。仕事なんてな、なんとかなるんだよ」
「まあ、お前のやってる万事屋ならいいんだろうがな」
「おいいっ、万事屋なめんなよ。万事屋はな、万事屋はっ」
「うるせぇな。馬鹿の一つ覚えみてえに『万事屋、万事屋』叫んでんじゃねえよ」土方は眉間に皺を寄せ、耳を押さえる。銀時はその仕草の一つ一つに腹がたって、ボルテージがどんどん上がるのが自分でも分かった。
売り言葉に買い言葉とはよく言ったもので、次々と出てくる言葉の応酬、段々でかくなる声。注文の酒を持ってきた男は、どうしていいか分からずに二人の顔を交互に見て、突っ立ったまま困り果てた。
「あのう、お客様…大声は店内では」

「悪りぃな、この馬鹿は物の道理っつーもんを知らなくてな」
「すまねーな、兄ちゃん。こいつは常識ってもんが頭から抜け落ちてんだ」

合わせたみてえに同時に揃った声が、死にたくなるほど気持ち悪い。

「おい、勝負だ。俺が勝ったら、そこをどけ」
「何言ってるんだ、俺は元からここにいるんだ。おめぇが、別の席で飲めばいいってだけの話だ。店内にいる権利くれえは認めてやる」
一向に譲る気配の無い土方へ、「な~んだ」くすりと聞こえるようにわざと笑ってやる。
「あん?」すぐに反応した土方へ、銀時は追い討ちをかけた。
「天下の真選組の鬼の副長ともあろうお方が、負けること怖さに勝負できないんですか、へー」くすくすと笑ってやると奴の眉間にぐぐっとさらに深い皺がよる。

「おい、なんて言った?負けることが怖いだと?」ホントに単純馬鹿。「上等だ。おいこら、俺と勝負しろ。俺が勝ったら、手前ぇは即刻この場から立ち去れ」
「副長さんよ、勝負の内容はどうする?前に花見のときに、俺が勝った酒の勝負でどうだ」
「手前ぇ、誰が勝っただと?あれは誰がどう見ても俺の勝ちだ」
ぴきーんと音でも立ちそうなほど引きつった顔をしている土方へ、顎を撫でながら半笑いをくれてやり、俺は奴の前に座った。

「俺のほうが先に意識を取り戻したからなあ」
「お前ぇが先に酔っ払ったからだろ。俺の意識は最後まであった」
「てめー、銀さんなめんなよ」むっとした表情で、銀時はお猪口に半分注がれた酒をあけた。
「誰が舐めるか。お前、変態か」馬鹿にした表情で土方は銀時を見ると、対抗心を燃やして自分の杯を勢いよくあける。
「おい、ふざけてんのかてめー」
「ふざけてんのはお前の頭だ、馬鹿。なんだ、そのどこにつむじがあるんだか分からねえ頭は」あごで、くいっと銀時の頭を差すと土方は薄ら笑いで銀時を見た。
「んだとぉーっ、天パなめんなっ」
「だから誰が舐めるかって言うんだ、この白髪頭」
「うるせーっ、このピッチリ頭。ちくしょー、お前なんてマヨつけてセットしてんだろ。毎朝毎朝、鏡の前でマヨつけてその頭なでつけてんだろ」
「誰がつけるか、ボケ」
「天パはな、天パはな、雨の日大変なんだぞ」
「そうかよ」
横目でちらっと冷たい視線を走らせると、土方は銀時から目をそらした。


ぐぐっと酒を空ける土方の前に、若い女の店員が注文をききにやってきた。銀時は、ミニに仕立てられた着物から覗く太ももやニーソックスをついつい男の性で見てしまう。
「あのぉ、追加の注文はございますか?」
「ねえな。おい、手前ぇはあんのか」笑顔とかわいい声を背一杯作りこんだ女の子に、土方は一瞥もしなかった。
「ねー、お姉さん漬物でも持ってきてよ」
土方とはうって変わって、彼女の足に見とれてる俺にじろりと冷たい視線を投げつけて、「かしこまりました」と視線よりも冷たい声をだした。
兄嫁では勝負が付かなかった。ばか高い酒の勝負は普段ならもったいなくてできねーもんだが、土方には痛くもなんともない勝負のようだ。なぜか次の店でもう一勝負ということで、ワリカンで払うことになったときも奴は余裕の表情で、それが余計にむかついた。

その次の店ではウィスキーの水割りで対決。
あまり大きくない店はにぎやかな女の子が多い。たまに銀時が行く店だ。さっきの店で冷たくあしらわれたことに懲りて、ここに決めた。
いつもは楽しく飲んで笑ってる店、なのによー。
俺たちが顔を出すとすぐに店の女の子が寄ってきて、俺ではなく土方の側にばかり座りたがった。ヤツの右には色っぽい谷間もスリットもばっちりの色っぽいドレスの美女、左には笑顔がかわいい和服美女。店のナンバーワンとナンバーツーがいそいそと寄ってきた。
俺の隣には…土方を応援してるナンバースリーが、俺から一人分は軽く離れて座ってる。なんだ、この違い。なんだ、このアウェー感。俺の行く店を選んだのに、俺が楽しく飲める店を選んだのに、どうして初対面の土方がモテるんだーっ。
「土方さん、頑張って」という女の甘えた声を土方は素知らぬ顔で聞き流し、自分の脚に置かれた女の手も気にしちゃいねーみたいだ。俺ならそれだけでドキドキしちまう。それにしても、女どもが土方にばかり寄ってくるっていうのはどういうわけだ。まっすぐな髪が物珍しいっていうのか、このヤロー。

「おい、こっちに一人よこせー」
土方の両隣に座った女の子が銀時を見てべーっと舌を出し、それまで以上に土方の近くへ座りなおした。ちくしょー。
「女取り合ってるわけじゃねえんだ。いいから、早くそれ空けろ」
野郎の言い方にむかっ腹が立って、ぐぐっと一息で酒をあけてやる。いい肴だよ、ホント。腹が立っておかげで酒がぐいぐいすすむ。
「よし、次ら」土方は女にもう一杯ずつの水割りを作らせて、目の前に置かせる。ろれつが回らなくなってきたようだ、そろそろだと俺はほくそ笑んだ。
互いにもう一杯ずつ空けたところで、腹が立ったからとっととこの店は終了。今度は女のいない店!

その次の店は、ホントに女っ気のない店。店員も呼ぶまで来やしねえ、なんともサービスの悪い店だ。一人でのんびり飲みてー気分のときに来る店。暗がりで個室も多いから普通ならカップルで来るんだろうが、俺はこの店は静かに飲む店のイメージが強い。土方はきょろきょろと辺りを見回しながら、席に着いた。こういう店にはあまり来たことがないようで物珍しい様子だった。
俺も野郎も随分と酔っているのは確かなようで、二人ともこの店までの道中もふらふらしていた。歩くと酔いはさらに回って、正直いって転がり込むようにして店の席には座らなきゃならなかった。やべえ、早いとこ野郎を潰さなきゃならねえ。

「へえ、女もよってこねえでうるさくなくていいな」土方はぽつりと呟くと、焼き鳥と焼酎を瓶ごとと氷を頼んだ。もてる男にゃそれなりに苦労があるってわけか、ふざけんな。
「うるせーな。ちょっとぐれぇ、さっきの店の女の子に騒がられたからって、いい気になってんじゃねーぞ。俺らってな、俺らってな、こう見えて行くとこに行きゃ女が両手にぶら下がるんだ」
「行くとこってどこだ?お前がもてるところなんざ見たことねえがな、どうせ人三化七な店だろうよ」土方は俺を鼻で笑ってタバコに火をつけた。「あんだとっ」と噛み付くように言いながら土方を睨みつけるが、最近とみに女っ気がねえのは悲しい事実だ。ぐっと焼酎をあけた。

「てめーなんて、寄ってきた女が付き合ってみりゃドン引きするタイプだ。腹黒い性格とマヨにドン引きされてんだろ」懐からマヨを取り出して、つまみの焼き鳥にたっぷりかけて食ってた土方が俺を見て鼻で笑う。「男は中身だからな」追い討ちをかけてやった。図星だろ?中身なら俺が勝つ!
予想に反して、土方は「へえ、分かってるじぇねえか」と言いながら、自分の杯に酒を注ぎ、ふうっと手にした煙草の煙を吐きながら言った。
「女にもてる男より、男にモテる男のほうがいい男ら。うちの近藤さんみたいにな」
連中の大将である近藤が万年ストーカー男なのは周知の事実で、それがいい男って言いきるのには賛成できねえが、近藤が男にモテるのもまた事実だ。っていうよりか、男にしかモテねえ。
あ、俺みたいだ。あー、しまった落ち込む。

「女にもてる割にゃ、てめーが誰かと付き合ってる噂をきかねえな」
「暇がなくてな」暇がなくてな、だと。ああ、言ってみてえ、銀さんも言ってみてー。
「てめぇはどうなんら。女っ気があるところを見たこたぁねえが」
「おめーが知らねーだけだ。俺はもてる」ついつい土方への対抗意識を燃やして、即答してしまった。
昔はなー、もてたんだけどなー。
命張って修羅場くぐってた頃は女が寄ってきた。多分、命のやり取りしてる緊迫感が男をかさ上げして見せるんだろう。その時分は、女が寄ってきても面倒くさくて適当にあしらっていたが、今となっては惜しい事したと本気で思う。
見る奴が見りゃ分かる目の前のこいつにある張り詰めたような空気は、今の俺にはこれっぱかしもない。今だって命張って生きてるし、いざとなりゃそれなりの修羅場をくぐる覚悟だって腹ん中に隠してるつもりだが、こいつみてえに命のやり取りは、万事屋の仕事じゃねえ。俺の仕事じゃねえ。

「暇がねえんじゃなくて、女に逃げられるんだろ。おめー、下手そうらもんな色々と」負け惜しみって分かってるが一言くらいなんか言ってやらねえと、俺の気がすまない。こいつに負けっぱなしっていうのが、一番腹立つ。
「あぁん?誰が色々と下手だと?おめぇ、俺と付き合った女とやった事でもあんのかよ」ぐっと酒を空けた土方の目の縁が薄赤く染まり、さっきよりもだいぶ酔っているようだった。
「あるわけねえだろ。てめーと義兄弟なんざ、死んでもなりたかねえや」
俺の言葉を土方はけらけらと笑いながら聞いて、「下手なのはおめぇだろ」と、グラスを持ったままの手で俺を指差した。
「おい、誰が下手らって?銀さんなめんなよ。俺は、すっげー、すっげー」そう言い切ってぐっと酒を空ける。何がすっげーのか分からないが、多分な、多分上手だ、すっげーはずだ。頼むから昔付き合った女とか、ご対面番組みたいに姿現さないでくれー。

「じゃあ、試すか」
煙草の火を消し、にやりと笑って土方が酒をあけた。
一瞬頭が真っ白になる。試すってどうやってナニを試すんだっていうんだ、その辺の女にお願いするっていうのか。まあ、こいつならうまくいくかも知れねえが。それとも、今からその手の店に繰り出そうっていうのか。
「おいおい、試すってどこで誰とだって言うんだ。第一、勝負するようなもんじゃねえらろ、ありゃあ」酔いすぎてどっかおかしくなってるんじゃねえのか。
「そりゃあそうだな」と土方は楽しそうに笑いながらそう言うと、「酒の勝負もついちゃいねえしな」と口にした。



<2>へ続く
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