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2010.03.23 Tue
3/23 早朝の4時ちょっと過ぎ、我が家の愛犬である「なな」が死にました。
そんなわけで、以下は「なな」へのラブレターで、全くの私信ですので畳んでおきます。

次回は普通のブログに戻ります。
ななへ

さて、何から書こうか。
お前が読むのだから、思いつくままに書いたとしても読んでくれると信じて、お前に書いてみよう。
頭がぼんやりだったお前のことだから、ゆっくりとお読み。

阪神大震災のちょうど一年前の深夜に、黄色い小鳥を看取った私は抜け殻のようになってしまった。大きな穴がぽっかりと口をあけたまま胸の奥にあって、私はそれを埋めなければどこかおかしくなってしまいそうだった。
大学受験の費用を使い込んで、生き物を飼おうと思ったのはそんなときだった。
公園をあちこち探したけれどどこにも捨てられた子犬も子猫もいなかったし、道には傷ついた鳥もいなかった。犬の収容所はうちからはうんと遠い。友達の家には生まれたばかりの動物もいなかった。

情報誌で相場を知って、大学2校分とお年玉。それで買えるのは、シェルティーか柴犬。
あの日、ペットショップにはシェルティーはいなかった。
お前に消えた受験代の大学の試験日に、小さなペットショップで見かけたのはサークルに入った柴犬が二匹。ちょうどお前の妹が小さな箱に入れられて、私と年の変わらない男に連れられて家へと帰るところだったね。

二匹いる残った赤毛の柴犬のうちどうしてお前を選んだのかは分からない。なんとなく、お前を選んだ。お前は真っ黒な鼻と目でこちらを見ていて、まるで小熊のようだった。
代金を払い、お前にかかる一式を手に入れて帰る私を不安げにお前は見ていたね。私もばれるんじゃないかとひやひやして、二人で玄関先で震えていた。

四月七日。そう、あと半月で、お前のやって来た日が来る。

みんなで決めるはずだった名前は紛糾して、私の一声で「なな」に決まった。
お前は、ずいぶん自分の名前を覚えるのに時間がかかって、ぼんやりした子だとよく分かった。

お前は穴を埋めてくれる子犬じゃなかった。
お前は隣に大穴をあけて、こっちを見ている子犬だった。

柴犬が本来の意味での犬だと、野生の犬のようだと気が付いたのはお前と一緒にいたからだ。
飼いならされてしまった犬ではなくて、意思を持って生きる犬。
それは最期までそうだったね。
家の中で排泄はせず、家の中では盛大に喧嘩した「のん」を外ではかばい、外敵にはどんなに大きくても一歩も引かず。こう書くとずいぶんとおりこうさんのようだけれど、おまえのぼんやりした頭もこっそりしていた盗み食いも、一生懸命に隠していたジャーキーの前をうろついてしまうのんびりさも、どれもお前だった。

ご飯を忘れてしまった人間に、ほんのちょっと押し付けて合図する冷たい黒い鼻。
お手といわれて、どこかのお姫さんのようにちょっと乗せてちょっと握る手。
どんな相手にも降ろしたことがない巻き尾。
栗饅頭と呼ばれたつやつやとした濃い茶色の背中。
よく通る吼え声。
口から伸びるきれいなピンク色の舌。
お前を一番特徴付ける、柴犬にしては大きな黒い瞳。

今日のあることはもうとうに分かっていた。
今日がいきなり来るのでは私にはダメージが大きすぎるから、何度も何度も頭の中でシュミレートしていたんだけれど、中々うまくはいかないみたいだ。

お前がてんかんで倒れたときに私は決めた。一番不安な最期の時間は、私は穏やかにお前と過ごそうと。それなのに、お前は私ではなくお母さんの腕の中で逝ってしまって、私は夢の中だった。
朝、もう動けなくなっていたお前が、もう二度と動かなくなっているのを見て私の頭はぼんやりとしてしまった。じんわりとじんわりと染みてくるのに時間がかかって、多分もっとたってからもっと寂しくなる。

命は使い切るもんだって、お前を見てよく分かった。
目が見えるうちは見て、聞こえるうちは聞いて、声が出るうちは声を出して伝えて、食べられるうちは食べて、飲めるうちは飲んで。
ひとつひとつ、灯りが消えるようにできることがなくなっていっても、お前は出来ることは全部やって、意志も通して。
人間どもの感傷なんて犬であるお前の前には、なんのことでもなくて。
できなくてかわいそうなんて、できることのあるうちに言うもんじゃないね。

なな。
先週お前を抱き上げたとき、お前があまりにも軽くて最期が近いのだと分かった。
お前からは生への執着のような重みがなくて、最期まで使い切られた肉体は骨と皮とになっていた。
もともと軽かったお前だけれど、生きているということは本当は考えている以上に重いんだね。

小さな箱に入ったお前。
多分私は少し庭に撒くだろう。
公園や田んぼにも少しだけ撒いておこう。
はなさか爺さんの犬のようにお前は庭で小さな花になって、小さな実になって、そこで遊んでおいで。

ときにはふらりと遊びにおいで。
私のベッドの上にのんが寝ていても、先住のお前が優先なのは変わらないから、いつもみたいに鼻でのんを押しやって特等席で眠りなさい。大丈夫、私が許すから。

なな、お前は世界で一番いい犬だよ。
世界中でお前ほどいい犬はいないんだよ。
犬の中でお前が一番大好きだよ。

何度も何度もお前に口にした言葉だけどね、本当だよ。


こないだある人物に呟かせた言葉だけど、今の私が一番言いたいことだから、お前に言おう。

もし戻ることが出来たとしたって、私は同じことを繰り返す。
同じ痛みを同じ長さだけ味わって、今のこの有様だとしても。
私は同じことをする。
きっとまた、あのペットショップでお前に会う。
今日のこの日が避けられないとしたって、私はお前と過ごすことを選ぶ。

さあ、そろそろ眠る時間。
言いたいことを全部書いていたら明日がなくなってしまうから、今日はこのあたりで止めよう。
またお前に手紙を書くから、気が向いたときに眺めなさい。
気が向いたら遊びにおいで。ここはお前の家だから。

じゃあね、なな。
ゆっくりお休み。
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2010.03.24 Wed 00:35 [ Edit ]
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